「金剛番長」 また女の子がかわいいよNE!

 
 俺達の愛すべきB級漫画が、熱く 過激に ムサくるしく 帰ってきやがった。主役の名は金剛晄(こんごう あきら)…男の中の男だぜ!

金剛番長 1 (少年サンデーコミックス)

金剛番長 1 (少年サンデーコミックス)

金剛番長 1〜
 
 作者の鈴木央といえば、過去に週刊少年ジャンプゴルフ漫画ライジングインパクト」を二度も連載した漫画家です。当時はあの女性的ともいえる繊細な線と描き込みの圧倒的な密度、そして「だげっちょ」や「んだけども」などと言い出した福島弁の主人公のインパクトに相当面食らったものでしたが、その熱い少年漫画的展開や、少年少女たちの心理的葛藤の描写には、ただひたすら惹き込まれたものです。
 そのライジングインパクトもスポーツ漫画の宿命を背負っていたために、やはりパワーインフレの波に飲み込まれた作品の一つでした。週刊少年サンデーで連載していたフィギュアスケート漫画である「ブリザードアクセル」も、読んではいませんが恐らく同様の道筋を辿っていたものと思われます。…まぁそれは仕方のないことです。キャプテン翼を大人になってから読んで、二人で一つの球を蹴って威力2倍とかボールが発火するとか、成長した翼たちの頭身が明かに10を超えていることなどに違和感を感じては「こんなのはトンデモ漫画だ!」と怒り出す必要はありません。それらはスポーツ漫画であって、決してスポーツではないからです。テニヌがテニスでないのと同じことです。
 
 では金剛番長はどういう漫画なのか?答えは簡単。番長漫画です。もっと詳しく言うなら"少年誌"の番長漫画です。分かりやすいですね。番長漫画が青年誌だったら主役は十中八苦ヤンキーですが、少年誌ならツッパってるけど仁義に厚いツンデレが主役なのが常識ですよね。金剛番長もそんな感じです。
 中身はどうでしょう。金剛番長が他校のワル共をかたっぱしから締めていき、その頭が次々と舎弟になっていく物語なのでしょうか?ちょっと違いますが概ね合っています。ただし目指すテッペンが関東一の番長といった肩書きではなく、日本全土を国粋主義に塗り替えんとする超右寄りな思想を打ち砕くこと、というのが他の番長漫画と大きく異なることです。もうパワーインフレどころの話ではないです。個人的にはベンツを担いで日本屋敷を練り歩く金剛番長よりも、そちらの規模の大真面目ないい加減さがツボでした。そういえば金剛番長の性格もそんな感じですね。大好きですよ、こういう熱すぎて鼻水出ちゃうようなノリ。
 
 しかしサンデーのWebサイトで毎週更新されている「まんが家バックステージ」で書かれていたのですが、あの画の線を全部一人で描いてるってマジっすか…。しかもアシスタントはトーンやベタ塗りを担当する奥さん一人。休暇もしっかり取れているという話ですし。
 作家って色んなタイプがいるんだなぁ。あれ?ちょっぴり阿寒の川湯に行っていたり6000回くらい一人でサイコロを振っていた人を思い出すような…。