「破壊魔定光」 SF・剣戟・幼女のハードアクション

 
 漫画・アニメで最も人が死ぬ作品は?のまとめスレッドで度々名前の挙がっていた作品、

破壊魔定光 第1巻 (ヤングジャンプコミックス)

破壊魔定光 第1巻 (ヤングジャンプコミックス)

 全12巻(完結)           ↑正確にはウルトラジャンプヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)
 
 そのカナ速の記事が「破壊魔定光(はかいま・さだみつ)」に興味を持つきっかけでした。
 並行宇宙の数々がまるごと滅んでいくというとんでもないスケール。地球が一つ滅ぶのではなくて、別世界に存在する宇宙が物凄い数滅ぶわけです。
 グレンラガンレベルのSFならウェルカム。そんな訳で全巻読みました。
 
 ストーリーや設定が、一見雑多なようなのに収束して面白い。
 無愛想ヘルメット萌え。刀かっこいい。コオネ可愛い。
 それが率直な感想です。無愛想ヘルメットは文字通りヘルメットであり、主人公・定光の相棒です。AIを搭載していて基本的に堅物。刀は超質量の未来兵器で定光のメイン武器です。コオネは最強兵器にしてパンチラ要員の外人幼女のことです。
 この時点でかなり個人的にツボなわけですが、しかし並行世界が云々の要素はいつ出てくるのだろう?と読み初めの頃は疑問に思っていました。何せ初めは全くそういう気配がありません。地球を襲ってくる宇宙人たちさえ、地球と同一の宇宙から来ている設定です。これでは意味が分かりません。
 
 が、物語はデウスエクスマキナよろしくな展開を見せていきます。というか本当に超展開すぎやしないかと漫画の方向性を疑ってしまったほどです。
 割と序盤に明かされる宇宙人たちの正体。主人公の戦闘における卓越した勘の良さ。それとリンクする宇宙人たちの本能。
 読んでなければ何を言ってるか分からないと思いますが、実に面白い流れです。新展開の火種になることはもちろん、主人公の新たな葛藤が実に面白い。内面描写が進むたびに主人公が魅力的に思えてきます。
 
 打ち切りによって最終回を迎えたようですが、全12巻で程よくまとまっており物語はしっかり完結します(個人的に最終回はスッキリするのに時間がかかりましたが)。SF色がありますが、難しさとしてはマトリックスよりハードでありつつもオタク的な程よい軽さであり、それを理解して読む分にはプラス要因になりこそすれ、マイナスにはならない水準であるかと。
 
 無骨な少年漫画臭がそこかしこに漂っており、基本、熱血主人公と堅物ヘルメットのやり取りだけでお腹一杯になる面白さがあります。
 割と個性的な漫画ですが、掛け値なしに男心を熱くする傑作。