「SIREN」 ホラー風味の簡易MGS

SIREN PlayStation 2 the Best

SIREN PlayStation 2 the Best

 
 死に慣れてるゲーマー、というか死にたがりな気質があるゲーマーには向いている、あるいは向いていないと言えるゲーム。
 向いているってのはその難易度の高さに対してのことで、それがこの手のゲーマーにとって、ホラーゲームというSIRENの本分を全く生かせないのですよ。そういう評判は発売当初から結構聞いていましたが、最近になってプロモを観れば、「そんなの吹っ飛ばす位に怖ぇーじゃん!」と思って買った訳です。
 しかしそれを更に上回る、プレイヤーの恐怖をかき消してしまうほどのゲームゲーム(造語)した「かくれんぼ」要素。ルートを開発していく楽しみのあるステージは良いのですが、解答が露骨に見えてしまう作りのステージもあります。
 そして死んでしまった後の素気ないリトライ画面。真夜中一人の大音量ヘッドフォンプレイで臨んだ結果だったんで、その後も進展はありませんでした。…自分でも分かったんですよ。初めにリトライ画面を見た直後、スイッチが入ってしまったなと。これは怖いゲームではなく、ステージを攻略する為のゲームであると。
 
 これをホラーゲームの最高峰と推す方もいるらしい、というのには確かに納得いきます。このゲームは確かに良い雰囲気を醸し出してますし、物語も断片的ながら凄く魅力的です。ただそれはゲーム内での「死」を攻略の楽しみと捉えない人の考え。「死ぬから怖い」っていう理屈は分かるのですが、死に過ぎるとリアリティを失って、ゲーム攻略への意欲になっちゃうんですよね。それなら「死に“そう”だから怖い」という段階まで難易度を落とした方がずっと恐怖が持続すると思うんです。
 といいつつも自分がクリアしたゲームは「零〜zero〜」の一作目と二作目 (真夜中一人ヘッドフォンプレイ。一作目のラストは昼間にorz) 、そして体験版でのサイレントヒル三作目と四作目しかなかったりしますので、自分自身ではホラーゲームとしての格付けは出来ません。ただ、ゲーム内でのゲームオーバーと攻略に臨まんとする喜びが直結してしまう類のゲーマーなら、このSIRENをホラーゲームだと思うと肩透かしを食らうと思います。私がそうでしたから。
 難易度というよりは、ステージデザインが非常に惜しく感じられます。美術的な意味ではなく、ゲームのレベルデザインという意味で。あと鍵や武器入手等のフラグ立てもゲームっぽすぎて今一乗り気になれませんでした。ゲーム要素のコンセプトさえ少し変えれば、一大傑作になりえたはず。