「大神」 Wii版は海外のみという傑作

大神 PlayStation 2 the Best

　最大の見所はプレイヤーを素直に最後まで楽しませることです。ゲームのセオリーに従って作られた、ある種の硬派ささえ感じさせるアクションアドベンチャーゲーム。
　
　大神は良くも悪しくもゼルダ的です。村とダンジョンのローテーションで進行して、その大枠の中に謎解きとサブイベントが散りばめられているという、とてもスタンダードな作りの。
　しかしそれらが攻略において単なる障害と化しているゲームってありませんか？その点で大神は実に丁寧です。まず統一された世界観があって、その世界観にマッチしたユーモアを交えての謎解きが設置されてるんですね。雑魚の攻略にしても同じです。攻略の道筋が見える外観でありつつも、間違いなく大神に出てきて然るべき可愛らしさがあり、多くのＲＰＧにいるどうでもいいモンスターという立場に身を落としていません。
　グラフィックや雑魚敵の動き、つまり視覚を楽しませることにおいても凝っています。凝っている故に若干うるさい感じもしますので波長の合わない方にはそれも一長一短ですが、墨絵調の広大な自然も、愛嬌のある妖怪たちも、どれも大神の世界観形成に貢献しているものたちです。
　丁寧で親切な作品は佳作でしかない、との考えを大きく改めさせられる丁寧さっぷりで、加えてラストの爆発力も考えると間違いなく傑作と断言できる素晴らしいゲームです。プレイ時間的なコストパフォーマンスも非常に高いですし。
　
　プレイする前に大神にそういった期待をする人は、きっとそう多くはないでしょう。私にしてもまず墨絵調のグラフィックに興味を惹かれていました。それは確かに実際にプレイしても大きな魅力でしたし、愛らしいキャラクターたちにも癒されっぱなしでした。 ストーリーも日本神話やおとぎ噺をごっちゃ混ぜにした感が新鮮で楽しかったです。
　なにより筆しらべというアイディアがこのゲームの主体そのものだと思っていた覚えがありますね。
　グラフィックはもとより、筆しらべもゲームのテンポを崩さない調整で大成功している素晴らしいシステムなのですが、それらを中心に大神を語るのは何か違う気がしてなりません。